慶應大学法学部2018年 世界史についてPart2
慶應法の世界史は難しい
いつぶりだろう,
代ゼミが始まる前にpart1 を出したから2か月ぶりですかね
この前の記事はなぜかネット検索禁止縛りで解説したのでかなり時間がかかってしまいましたが,今回は赤本やら世界史の窓やらをふんだんに使用して解説したいと思います。
「世界史なんて興味ないわ」「自己満で草」とか思う人にも少しでも読んでためになるような哲学的な話だとか,昨今の世界情勢にからめながらやっていきます。
どうでもいいんですけど,今かなり落ち込んでいます。というのも,添削用のプリントを無くした(たぶん捨てた)からです。やはり善意でもらったものを捨ててしまうのって背信行為だし,過失であれそういうことをしてしまう自分にあきれますね。まあこれは置いておいて
問題Ⅰ
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その後,日本による支配や米ソによる軍政の時代を経て,(エ)大韓民国と(オ)朝鮮民主主義人民共和国がそれぞれ成立した。(カ)朝鮮戦争への参戦など,現代の朝鮮半島を理解するうえでも中国との関わりは重要なものとなっている。
問 大韓民国における1990年代頃の動きに関し,出来事が起こった順序とし正しいものを選べ
民主化宣言,ソウル五輪,韓ソ国交樹立,中韓国交樹立,国際連合加盟
今回は単語羅列して時系列に配列する問題にさせていただきます。
では解説,これらの年号を暗記してた人なんているんでしょうかね笑
でも大丈夫です。ソウル五輪を除けばある程度推測できますし,山川の教科書を読み込んでいれば解答が出せます。ひとつひとつ単語を見ていきましょう。
民主化宣言
民主化宣言をする必要があるということは,宣言発布前は独裁体制だったということですね。20世紀中葉,WW2が終わり、共産主義国と資本主義国の対立が深刻化してきたのに加え,大国の覇権主義的行動が目立つようになりました。そこで生じたのが朝鮮戦争です。(補足です。共産主義は格差是正を目指すのに対し,資本主義は格差を生み出すことで成長を促す。この二つは対立関係にあるので当然争いが起こります)
日本が統治していた朝鮮が日本の敗戦の結果,独立を果たすと,当然だれが朝鮮のトップに立つのかで内部対立が起きました。アメリカを後援として南部を実効支配していた李承晩を指導者とする大韓民国と,北部を実効支配していた朝鮮民主主義人民共和国。
改めて考えると財政援助って相当な力がありますよね。「誰が金だしてると思ってるんだ」理論,勝手に名前付けちゃいました。金によって行動が支配されるって私にはどこか資本主義を前提にした考えな気がするんですよね。それを中共が,しかも鄧小平登場前にやっているのには納得できません。
朝鮮戦争が終わると,李承晩の執政は続いていたが,アメリカから多額の財政援助を受けていたにも拘わらず,経済は伸び悩み, 人々の不満が高まっていた。(来たぞ、経済状況が悪くなり政府が正しい政策を打てないと大抵なにか起こります。世界史の原則です。)
李承晩の不正選挙に反発する学生デモをきっかけにして,李は退陣そして亡命,民主化するかと思われたが,朴正煕ら韓国軍による軍事クーデターで軍事政権へと移行した。
ここで強調したいのは,軍事政権だったがかなりの経済成長を成し遂げた点だ。そこには「日韓基本条約」が関係している。内容としては日本からの無償資金5億ドルと借款および技術協力をするかわりに人権問題による対立を終わらせることで,以後徴用工問題は解決したことになっていた(条文に記載あり)なのにまだ徴用工問題で賠償金を要求しているどこぞの文在寅はバカなんですか?でもまあわからなくは無いですよ。かまってもらえなかったり,自分が相手にされないと過去の悪いことを持ち出して,攻撃するやつ。私もしたことありますよ。馬鹿でしたね。
民衆が成長することで中間層も資本主義に巻き込まれると民主化の機運が再燃した(自由な商売がしたいのと規制緩和を求めて)。光州で起きた民主化をもとめる運動を全斗換が軍隊を用いて鎮圧したことで朴大統領は退陣するにいたった。新たに登場したのが
以上が民主化宣言の説明ですね。次に行きましょう
私の持ってる本だと資料集にしか載ってませんでした。しかも資料集はもう年表になっちゃってるんでただの答えですよ。なにか因果関係が説明できればいいんですけど,一つ思ったことは,盧泰愚が「民主化宣言」を出した理由は迫っていたオリンピックを全うするためにデモなどを解決しようとしていたのではないかという仮説。軍事政権の独裁を敷いたま五輪をするのは内外からの批判が多そうですからね。
私が同五輪について持ちうる知識は北朝鮮は不参加だったことだけ,新聞だったかニュースかは忘れましたが,北朝鮮が参加しないオリンピックってのがあるんですよ。例えば1964年の東京オリンピック。
日本から参加資格を剥奪されていたんですね。47ニュースを引用させていただきます。
北朝鮮は来日後、辛金丹ら参加資格のない選手の選手村入村や、開会式の入場行進参加を求めるなど国際スポーツの常識に沿わない要望を続けた。政治の介入を嫌うブランデージIOC会長体制下では通りようがなかった。北朝鮮の総引き揚げは、五輪ボイコットの先駆けとなる事件で、成功した東京五輪のほとんど唯一の傷となった。
なんで北朝鮮が参加しなかったのかについて記事がありましたのでまた引用させていただきます。これは日刊スポーツ新聞社です
韓国は米国の傀儡(かいらい)という性格が強く、経済的にも立ち遅れていた。だが70年代から「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げ、五輪開催も決まった。焦った北朝鮮で実権を握っていた金正日は「韓国をたたきつぶす」と83年のラングーン(現ヤンゴン)爆弾テロ事件、87年の大韓航空機撃墜事件を引き起こす。全大統領暗殺、ソウル五輪妨害を計画していたと言われています。
こんなことしといてオリンピック参加は絶対無理だから,拒否される前に自分から拒否した感じですかね。
つぎー
韓ソ国交樹立と中韓国交樹立
韓ソ国交樹立の方は変換すら出てきません。「韓ソ共同宣言」ならコトバンクに載ってました。引用
1990年 12月 14日に韓国のノテウ (廬泰愚) 大統領とソ連のゴルバチョフ大統領の間で署名された共同宣言。韓ソ両国の友好関係強化と交流の拡大,さらにアジア地域における冷戦の終結と,朝鮮半島の安全保障体制の構築に向けての両国の努力の決意が明記された。韓国は対ソ国交樹立により,北方外交を大躍進させた。一方ソ連は,韓国から経済援助を取付けると同時に,みずからのアジア太平洋地域の集団安全保障体制構想に,韓国を引入れることに成功した。
だそうです笑
1992年8月には、盧泰愚が韓国の国家元首として初めて中華人民共和国を訪問し、江沢民総書記や楊尚昆国家主席らと会談、国交を樹立し、同時に「一つの中国論」に従ってそれまで友好関係にあった中華民国(台湾)と国交を断絶した。同年にベトナム社会主義共和国とは大使級外交関係を樹立した。
これらの結果を残した盧泰愚はかなり賞賛されている人物です。中国版田中角栄ですかね。
残すは国際連合加盟
みなさんも聞いたことがあるか分かりませんが、南北朝鮮国連同時加盟というのはコロケーションも良く頻繁に使われてると思います。これは受験生なら想起したい。南=大韓民国,北=北朝鮮です。
なぜ同時加盟をしたのか。
知ってればいいのですが今は初見という設定なので論理的に考えたい…
仮説
韓ソ国交樹立,中韓国交樹立に焦りを見せた北朝鮮が韓国とバチバチはやばいと思って国連加盟を望んだ。
ちなみに、考えられそうな仮説として「各国から国として承認されたかった」というのを思いついた人もいると思いますがこれは難しいですね。現在でも日本の外交上の立場として「北朝鮮は国家ではない」としています。なんで国家として認めてないのに国連加盟を承認したんでしょうか。当時の内閣総理大臣小泉純一郎の答弁が残っています。
「休戦ライン以南の地域が、大韓民国の有効な支配が及んでいる範囲であると認識している。そして、国際法上,一般に、国家承認の要件については,ある主体が国家としての要件を充足していること,すなわち,一定の領域においてその領域に在る住民を統治するための実効的政治権力を確立していることが必要とされている」
ここまでは教科書通りの答弁。
「また,我が国としては、当該主体が国際法を遵守する意思と能力を有しているかについても考慮することとしている」
つまり,北朝鮮は国際法上の国家の条件を満たしているが「国際法を遵守する意志と能力」に欠けているから国家として承認しないと言うわけです。
かなり話がそれてしまいました。今回は前者を採用させて頂いて,解答が
民主化宣言→ソウル五輪→韓ソ国交樹立→中韓国交樹立→国連加盟
ここまでが試験会場で出せる力。でも実際に年号を調べると…
民主化宣言=1987年6月29日
ソウル五輪=1988年9月17日から10月2日
韓ソ国交樹立=1990年12月14日
中韓国交樹立=1992年8月24日
国際連合加盟=1991年9月18日
で下二つが逆なんですね…答えから考えれば
国連加盟を受けて中国が国として韓国を承認した(各国の意思を尊重)という論理が組めます。けど!
これは2択で運になるよ…
という事で長々と1問を解説する感じになってしまったけど,やっぱ慶應法の世界史は並べ替えと正誤がかなり難しい。ここで合否が決まるんだろうね。
ここまで読んだ人いるんですか?お疲れ様です。なにかご褒美でもあげたいところですね。
新潟県立歴史博物館で法華経のなんかやるらしいんで一緒にいきますか♡解説付きです。
まあ冗談は置いておいてガチでお疲れ様です!
少し当初の目的とはズレてなかなか現代の朝鮮とは関係が希薄になってしまったかもしれませんが,皆様の知識が少しでも増えたのであれば幸いです。